3月30日中日新聞 妊娠とお口の関係
Q 妊娠中はお口のトラプルが増えると聞きました。どのようなことに気をつけたらよいのでしょうか。
A 妊娠し子供を産むとお母さんの歯が急に悪くなるのは赤ちゃんにカルシウムを取られるからと言われていましたが医学的には根拠がないようです。
しかし統計上でもこの時期は虫歯や歯肉炎が増加します。これはつわりなどにより歯磨きが不十分になり(歯ブラシを見ただけで気分が悪くなる人もいます。)食事の嗜好が変化して偏食が増え食生活が不規則になるために起こると考えられています。
また女性ホルモンのバランスが変化することで妊娠性歯肉炎が起こることも知られています。
妊娠中は通常なら可能な治療も、使える薬も限られます。
妊娠中母親の健康状態が悪いと赤ちゃんの歯の硬組織(エナメル質など)がうまく形成されず、生まれつき虫歯になりやすい歯となります。
またビタミンAやDの不足は赤ちゃんの歯や骨の成長を妨げます。
大切な事は遺伝による虫歯や歯周病のなりやすさは多くの因子中のほんの一部だと言うことです。
食事、清掃、細菌叢、免疫と言った他の因子と複雑に関係しているのです。
こうしたトラブルを防ぐには、妊娠する前から定期的な予防治療を受け、セルフケアを徹底することに尽きます。
院長プロフィール
滝高校、公立九州歯科大学卒業。
京都大学医学部口腔外科入局。
口腔腫瘍・顔面外傷の口腔外科専門医として多くの外科手術を担当。福井県立病院口腔外科医長を経て各務原市で口腔外科クリニックを開業。
現在は、DNA検査を用いた歯周病治療や、人工骨を用いた再生医療インプラントに多くの実績を持つ。