No1 温泉ビール 文庫本 京都和食定宿
富豪と貧乏の繰り返し旅日記
人生には全く想像もしなかつた出来事がしばしば起こるようです。
京大系列基幹病院の長として20代から地元のメディアに専門分野の文章掲載を操り返すうちに、担当者との打ち合わせで食、旅、温泉、宿、の連載を打診され、ふたつ返事で始めたのが事の始まりでした。
当時から全財産と仕事以外の全時間をこれ等に費やしていることが、バレてしまつたのです。
本業以上に読者に受けたらしく、結構いろいろな雑誌などにも連載をしました。
通常この世界の不文律として、自分の1番好きもしくは本当に毎日行きつけのお店や宿は絶対に紹介しないものです。プロが最高だと思う店は当然予約も取りにくくコストパフォーマンスも最高ですから、何万何十万の読者が電話をかけ押しかけたら肝心の自分が予約も取れず、行けなくなるからです。
但し今月から始まるこのふざけた題名の連載は
あくまでも患者さんやスタッフの幸せだけを考えての事ですから、初めから行きつけやとびきりのお店に集中して情報公開します。
これには少し事情があり、1年前に大病で入院した私は現在以前の半分も患者さんの治療ができず、そのお詫びの意味も含めての連載開始なのです。
(私自身は本業で十分食べていけますし、出版し部数を稼いで儲けるつもりもありませんので)
1 京都 和食
いきなり直球勝負、最近1番多い質問です。
現在京都はものすごいバブルで飲食店も宿も異常な勢いで増えています。地元の老舗のご主人たちは将来を憂えて、メディアもなかなか追いつかないようです。
早速お店を紹介いたします。
四季中むら
まだ若いご主人が、ショバ代の高い祇園を避けて街中から少し離れた場所に自分の店を持たれました。
最近の京都の傾向として、若く修行期間も最短で独立される方が多いのですが、中村さんは一流の料理人の下厳しい修行をされ実力も充分かと思います。
私は宿も食もコストパフォーマンスを第一に考えます。
30,000円払って安い場合もありますし、1000円で高い場合もあります。
現時点では京都の和食界で最もコスパが良いと思っています。
オススメは昼の3500円のコースです。
先週伺った時も、ご主人が「本当にこのコースは苦しいです」とおっしゃっていました。
言い換えれば客にとってこれほどオイシイ話は無いわけです。
最近は予約が取りづらく、週末は10回に1回取れれば良い方です。
人柄も料理も雰囲気も、この値段でこれだけの内容はまだ知りません。
突筆すべきは締めのデザートで、中村さん本人が甘いもの好きであるがために、ダブルデザートになっています。
言うまでもなくすべてご本人の手作りです。
ミシュランに掲載され予約が取れなくなる前にぜひ一度お出かけください。
一番紹介したくない行きつけのお店です。
(一口メモ)
京都のお店に限らず、一流と言われるお店はすべてそうですが必ず予約を取って伺ってください。
お客様を迎えるプロの立場は私たちの想像を超えるほど繊細です。相手の思考、好み等細かくリサーチして最高の状態で臨まれています。
もう一点当日のドタキャンはタブーです。
私は以前中村さんの貸切予約をして、当日台風のため全員伺えなくなったことがあります。
天災のこと故にどうしようもないと一般には思われがちですが、当日の仕入れ仕込みを考えるといたたまれなく、急遽私の知り合いに電話をかけまくって席を埋めた覚えがあります。
仕入れや下ごしらえに大変な労力と時間とお金を使って、お客さんと相対する瞬間に最高の状態でサーブするのが当然と考えて、プロは命を削っています。
お店によっては当日キャンセルは全額料金負担を明記していると思います。
10月のある日のランチコース3,500円です。
先付
イチジク赤こんにゃくほうれん草の白和え、イクラと蕎麦の実のせ
椀物
グジ 松茸 自家製ごま豆腐
刺身
シマアジとカマス(炙り)
油物
京都の地の茄子 粟麩
新小芋 三度豆
子持ち鮎
蒸し物
渡り蟹の餡かけ茶碗蒸し 銀杏と菊の花添え
餡は生姜がよく効いています
ご飯
新米三重県実家のコシヒカリ土鍋炊き
豚汁山椒がかかっています
だし巻きマス祐庵焼き燻りガッコ自家製山芋の漬物
デザート(1)
シャインマスカット、柿、紅茶で炊いた梨 白ワインのジュレがけ
デザート(2)
自家製 栗きんとん
2 京都の常宿 京都ブライトンホテル
日本全国を飛び回る為、特に出張の多い大都市には常宿を設けています。
最も宿泊日数が多い都市のは大学病院のある京都です。
ホテルの選択基準は昔から3つのSで示されます。
1 清潔
2 Safety(安全)
3 Silent(静かさ)
日本国内の場合、1、2はほとんどの場合満たされていますが、3の静かさだけは土地や道路の事情、 建築費用の圧縮等でまだまだ十分なホテルは多くありません。
私のホテル選びの基準は実は全く違って、朝食にまっとうな和食を食べさせる事を第一としています。
静かさに関しては後程旅行に必要な持ち物の記述で理由が分かります。
翌朝から仕事やセミナーが始まることが多く、おいしい白飯と味噌汁は欠かせません。十分なエネルギーを取るだけでなく、心から満たされた朝食をとりたいのです。
どうしてもバイキングが苦手で、大勢の人の後に立ち、お皿を持って並ぶ事が好きではありません。
今は1件もありませんが、以前は吉兆で朝食が食べられるホテルを優先的に選んでいました。
京都ブライトンホテルは平安京のあった昔、陰陽師の安倍晴明の屋敷跡に建てられたと伝えられています。
風水は苦手ですが、東側の部屋から眺める大文字山はちょうど京大病院から眺める大文字山と同じ形に見えます。20代は毎日この山を見て育ったと言って過言ではありません。
肝心の朝食は、一流和食処「蛍」の素晴らしい和朝食です。
お粥か白飯を選べますが、いつも私はお粥です。
特に焼き魚、だし巻き、梅干が美味しくて、味噌汁は申し分がないお出汁の味がします。
京都のホテルでは他の大都市に比べ和食のレベルは桁違いに高いのですが、ブライトンの「蛍」は頭2つほど抜けているように思います。
部屋はシングルがなくツイン以上ですが、どの部屋も約40平米を超える広さで土地が狭く高い京都の高級ホテルの平均水準を大きく変えてしまったと言われています。
予約に関しては以前は楽天トラベルかホテルのサイトから予約しましたが、最近はAgodaが最も安いようで頻繁に利用しています。
定宿で私が仕事をすることを知っているのか手元照明と充電器が必ず用意されております。