お口の中の菌いろいろ
大きくて食べられないバイ菌の代表 カビ(真菌)
バイ菌というよりカビが多いようです。カビの中で特に代表的なのがカンジダというカ ビです。口の中にカビ?と思う人も多いでしょうが、実は歯垢(プラーク)の中はカビだらけという感じです。
高齢者の歯の根の虫歯の歯 垢(プラーク)中には大きいカンジダアルビカンスが多い。
逆に白血球を食べてしまうバイ菌 原虫
これもバイ菌というより原虫という虫の仲間です。歯肉アメーバというもので、口の中以外にも、いろいろな場所に住んでいます。位相差顕微鏡で見るととても大きくて、歯周病が重症の患者さんのお口の中にはたくさんいます。白血球をたくさん食べています。
歯肉アメーバ 白血球をたくさん食べています。
白血球に食べられないバイ菌にはどんなバイ菌がいるのか?
動きが速すぎて食べられないバイ菌 細菌
トレポネーマ デンテイコーラ 位相差顕微鏡で見ているととにかく動きが早い。その上に食べられないような物質まで出します。このバイ菌がいると、他のバイ菌も非常に増えてきます。歯周病がひどい患者さんのお口の中には、とにかくたくさん住んでいます。
バイ菌の中では特別な形をしているのですぐに見分けがつきます。
らせん状に動くバイ菌がトレポネーマ デンテイコーラ
歯周病が重症の患者さんに 多くみられます。
食べられないような物質を出すといわれているバイ菌 細菌
・ポルフィノモナス ジンジバーリス
一番、歯周病に関係しているらしいといわれている菌でとても強い臭いを出すと言われています
・プレボテラ インターメディア
女性ホルモンが大好きで女性ホルモンによって、より発育が促進されるといわれています。その為女性の思春期性や妊娠性の歯肉炎を起こすといわれています。
・アクチノバシラス アクチノミセテムコミタンス
あんまり多くはないけれど感染するとひどい歯周病になると言われています。
以上の菌は暗い酸素の少ないところが大好きで、酸素に当たると死んでしまいます。そのため、歯ぐきの深いところへ、潜り込もうとする性質があります。
大きくて早いバイ菌 原虫
これもバイ菌というより原虫という虫のなかまです。口腔トリコモナスという虫です。
不思議なことにバイ菌を食べています。では、人間にとって役に立つのかというとそうでもないようで、歯周病が重症の患者さんのお口にしかいないようです。
口腔トリコモナス
細菌を食べていますが、歯周病の重症の患者さんによく見られます。
解 説:微生物(小さい生き物)の中に細菌、カビ(真菌)、原虫などの分類があります。しかし、わかりにくくなるので、微生物をバイ菌と表現しています。この本ではこれからの記述でバイ菌という表現は細菌、真菌、原虫の総称と理解しながら読んでください。また、細菌の中には人間の体と共に生きて役に立つ細菌もいます。このような細菌を善玉菌と表現します。逆に人間にとって、害になる細菌もいます。これらの細菌のことを悪玉菌と表現しています。