3月27日中日新聞 メタボリックドミノについて

中日新聞教えてドクターQ&A

教えてドクターQ&AQ.命に関わるようなさまざまな病気が口の中の細菌と関係があると聞きましたが、どのようなものか教えてください。(38歳女性)

A.メタボリックドミノといい、すべての病気の最上流は口腔細菌です。インシュリン抵抗性が生まれ、食後高血糖、高血圧、脂質異常症が始まり、脂肪肝、糖尿病、脳血管障害、虚血性心疾患、神経症、腎症、網膜症と下流に行くほど重大な結果となり、最終的には透析、失明、下肢切断、脳卒中、心不全、癌と命に関わることとなります。

口腔細菌による血液汚染を歯源性菌血症と呼び、悪玉菌が多い状態が続けば文字通り、常時全身の血液を汚染することになります。最も重要なポイントは、この時点(菌血症が起こっているにもかかわらず)で何の症状もなく痛みも感じないことです。

現在では、DNA検査で悪玉菌の数を正確に痛みもなく診断することが可能となり、除菌治療も簡単にできます。

口腔細菌という1番ピンが倒れなければ、残りのドミノがバタバタと倒れることはありません。もちろんすべての病気の原因は口腔細菌だけでなく食事、睡眠、運動、ストレスなど複雑に関係していることは事実です。

口腔は高山の水が湧き出る泉に相当します。源流域の汚染さえなければ、中流下流も常にきれいな水が流れ続ける(健康が維持できる)ことをイメージしてください。

歯科医師 プロフィール

滝高校、公立九州歯科大学卒業。

京都大学医学部口腔外科入局。

口腔腫瘍・顔面外傷の口腔外科専門医として多くの外科手術を担当。福井県立病院口腔外科医長を経て各務原市で口腔外科クリニックを開業。

現在は、DNA検査を用いた歯周病治療や、人工骨を用いた再生医療インプラントに多くの実績を持つ。

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