歯ナシにならない話
Q7 最近歯茎がやせてきたのですが、歯周病でしょうか?
Q7 39才の主婦です。最近歯茎がやせてきたのですが、歯周病でしょうか?また、通院すれば回復するでしょうか。
A
歯茎がやせる、歯を磨くと血が出るなどの症状は典型的な歯周病といえそうです。現在わが国の成人が歯を失う原因の大半は歯周病と言われています。
歯周病は歯槽膿漏という俗称で呼ばれていましたが歯垢(プラーク)が原因の骨の病気です。
プラークを放置すると歯肉炎を発症しさらに歯周ポケットと呼ばれる溝ができプラークが唾液中のカルシウムと一緒になり歯石が沈着します。
こうなると歯茎の中まで細菌が入り込み歯を支える昏(歯槽骨)をどんどん溶かし最後は歯がぐらぐらとなり抜け落ちてしまいます。
歯そのものがどんなに健康でも土台が崩れてはひとたまりもありません。歯周病のもっとも恐ろしい点は多くの場合ほとんど無痛のまま進行して突然最後がやってくることです。
虫歯のように”痛みという大きなサインが少ないのです。治療のポイントは予防につきます。
定期的(6ケ月に1回ほど)に検査(歯茎の溝の深さ【歯周ポケット】を測る)と治療(正しいブラッシングの指導を受け清潔にして歯茎に隠れた歯垢や歯石を除去する)を繰り返します。
検査も治療も痛くなく時間もお金も余りかからないので面倒がらず、歯周病の克服こそ一生自分の歯で食べるための最大のポイントと言うことを強く自覚してください。
Q6 子どもの頃、左下奥歯の永久歯を抜歯してそのままです
Q 31才の主婦です。子どもの頃、左下奥歯の永久歯を抜歯してそのままです。噛み合わせのこともあり、最近気になります。何らかの処置が必要でしょうか。
A
歯は単独で働かず全体で歯列弓(アーチ)を作り安定した形と機能を保っています。
抜歯したまま放置すると抜けた場所に両側の歯が倒れこみ(傾斜)かみ合う相棒の歯が伸びてきます(挺出)。
食べ物が詰まりやすくなり、歯は磨きにくく部分的には虫歯や歯周病の原因となり、全体的には顎の運動の障害となり顎関節症などの原因となります。
このように歯を抜けたまま放置することは悪い結果を生みます。
治療は通常両側の歯を削り固定式の歯を入れるブリッジが一般的ですが歯を削ることに抵抗のある方は取り外しの義歯(入れ歯)でもかまいません。歯は削りたくない入れ歯もいやという方はインプラントという手がありますがこれは保険が使えず自費診療となります。
いずれにしても選択が多いので主治医の先生とよく相談して納得のうえ自分のスタイルにあった治療を受けてください。
Q5 長女の1才児検診で、歯の噛み合わせが反対と言われました
Q 先日長女の1才児検診で、歯の噛み合わせが反対と言われました。しばらく様子を見ましょうと言われましたが、何もしなくて良いのでしょうか?
A
歯のかみ合わせが反対というのを専門用語で反対こう合といいます。治療となると矯正が必要ですが、矯正には本人の自覚と協力が必要なため、通常一歳児では何もしなくて良いというよりできないというのが本音です。
幼児の矯正は、乳歯はどうせ生え変わるから無駄かといえばむしろ逆で、乳歯の歯並びは永久歯に影響があるため、4~5歳でもう一度受診していただき、正確な診断(歯の型をとりレントゲンを撮って分析します)のもとに治療方針、具体的な内容、期間、費用などを主治医とよく相談されると良いでしょう。
現在の技術では特別な場合(高度に進展した歯周病など)を除き、年をとっても矯正は可能ですが、年齢が矯正に決定的に影響を与えるのは、顎の骨の矯正を伴う場合です。
成長期ではヘッドギアという治療器具などを利用して骨の成長のコントロールが可能ですが、成長が完全にストップしてからの骨の矯正には手術(外科矯正)を要するのです。
逆に幼すぎると、せっかく矯正しても成長の影響でまた元通りという場合も考えられます。
では矯正の最適な時期はといえば、骨も歯も柔軟で動かしやすい乳歯から永久歯に交換する時期、具体的に言うと6~7歳がこれに相当します。
Q4 最近、大きな口を開けた時やあくびをした時に、片方のあごが外れます。
Q4 最近、大きな口を開けた時やあくびをした時に、片方のあごが外れます。
すぐもどるときもありますが、もどらない時はl時間近くかかり、痛みもひどいです。どんな治療をするのか、また、しっかり治るのかとても不安です。
A
あごが外れることを専門用語で顎関節脱臼といいます。
通常の脱臼は前方脱臼といって下顎の関節頭(凸)が関節結節(凹)を超えて全体に前下方に移動し、戻らない状態を指します。
自分で簡単に戻せる人は治療の対象になりにくいのですが、度々救急搬送される場合は外科的治療が選択されます。
手術法にはいろいろ在りますが最も多いのが頬骨弓切断術(ル.クレック法)といって頬骨のでっぱり(頬骨弓)を人工的に骨折させて関節の前下方に固定することにより下顎頭の過度の前方への移動を抑制します。
通常1週間から十日ほどの入院で手術時間は1~2時間の比較的簡単な手術の部類に入ります。
手術の最終判断はご本人が決めることなので口腔外科専門医を受診されてはいかがでしょうか。
Q3 子どもの歯について質問します。
Q3 乳歯から永久歯にはえ変わりの時期ですが、このままいくと永久歯が並びきらないのではないかと思います。
このまま放っておいていいのか、それとも矯正するなど早めに対処したほうがよいのでしょうか?
A
歯並びの程度に大きく個人差があるため本人を診察しないと判断できない典型的なケースですが、考えられる範囲でお答え致します。
現代人は食事が柔らかく噛む回数が極端に少ないために歯並びの幅(歯列弓)が狭く、反対に栄養状態が良いため歯の大きさは大きくなっています。
このため歯が並ぶべき容器の顎の骨と歯の大きさのアンバランスが生じ、歯並びが次第に悪くなりつつあります。
放置しても良いか矯正の必要があるかはレントゲンや歯の模型を規格に基ずき計測し、その数値が一般の日本人の平均から統計上大きく外れていないかをコンピューターなどを用いて解析します。
比較的簡単に判断ができますのでご心配でしたら一度矯正専門医に相談されてはいかがでしょうか。
Q2 現在妊娠4ケ月です。私自身歯が弱かったので、歯の丈夫な子を産みたいのですが、歯の質は遺伝しますか?
Q2 現在妊娠4ケ月です。私自身歯が弱かったので、歯の丈夫な子を産みたいのですが、歯の質は遺伝しますか?また、妊娠中に注意することはありますか?
A
歯も人体の一部ですので、当然遺伝によってかなり左右されます。特に虫歯、歯周病、歯並び、歯の形などは遺伝の影響が少なくありません。
歯の質にも遺伝の要素はありますが、最近になってわかってきたことでは口の中の細菌の種類とバランス、唾液の性状などが異なることが虫歯のできやすい人と、そうでない人との大きな差ではないかと考えられています。
ほとんど歯を磨かなくても虫歯にならない人もいれば、毎日3回きちんと丁寧に磨いても虫歯だらけの人がいるのは、こうした理由もあるようです。
妊娠中の注意事項は、Q1「子どもを産むと歯がボロボロになるの?」で詳しく触れていますが、少し追加いたします。
妊娠中、母親の健康状態が悪いと、赤ちゃんの歯の硬組織(エナメル質など)が、うまく形成されず、生まれつき虫歯になりやすい歯となります。また、ビタミンAやDの不足は、赤ちゃんの歯や骨の成長を妨げます。
これらは、いずれも遺伝とは関係ありません。
ここで大切なことは虫歯のなりやすさは多くの因子の中のほんの一部だということです。例えば食べ物や清掃といった他の因子と複雑に関係しているのです。
Q1 子どもを産むと歯がボロボロになる?
Q1.子どもを産むと歯がボロボロになると聞いたことがありますが、本当でしょうか?
また、妊娠中に特に気をつけることは、何ですか?
A.
妊娠し子供を産むとお母さんの歯が急に悪くなるのは赤ちゃんにカルシウムを取られるからといわれていましたが医学的には根拠がないようです。しかし統計の上でもこの時期は虫歯や歯肉炎が増加します。
これは、つわりなどにより歯磨きが不十分になり(歯ブラシを見ただけで気分が悪くなる人もみえます)食事の嗜好が変化して偏食が増え食生活が不規則になるために起こると考えられています。
また女性ホルモンのバランスが変化することで妊娠性歯肉炎が起こることも知られています。妊娠中は通常なら可能な治療も、使える薬も限られます。
こうしたトラブルを防ぐには、妊娠する前から定期的な予防治療(スケーリングとブラッシング指導など)を受け、セルフケアを徹底することです。